ネット広告の問題とか
おごそかないのりの場にロウソクがたつ。
正教会の教会堂には独特の雰囲気がただよっていた。
香のかおり、音、特徴のあるイコン、アカペラでうたわれる聖歌。
プロテスタントやカトリックの教会とも、またちがう。
本でよんだ正教会についての知識はまったく役にたたなかった。
とおくからド-ンという音がきこえる。ユメのなか。
戦中の国でちかくのビルがもえ、炎上するトラックがつっこんできて、家族とはぐれてしまう。
目がさめて、ユメでよかったとホッとする。
しかし、現実にもこんなことがおきているとおもうと胸がいたんだ。
ネット炎上。だれが「炎上」といいはじめたのだろう。
礼拝堂のロウソクがのろしのように上へ上へとあがっていくものだとしたら、ネット炎上は山火事のように横へ横へとひろがっていく。
アニメ『推しの子』㐧6話はリアルなネット炎上をえがいていた。あまりにリアルで、みているのもつらい。
しかし、このお話からすらリアルの炎上がうまれる。これがネットである。
あらたな炎上がうまれて、一番いそがしそうにしているのは、まとめサイトのようにみえる。
炎上についてSNSで検索してもまとめサイトが上位に表示され、発端となったツイートはみつけることすら困難だ。
もえればもえるほど、アクセス数はふえる。
2018年、WSJはユーチューブ元技術者らの告発記事をだした1。 ユーチューブはサイトの滞在時間をふやすため、おすすめ動画により粘着性のたかい動画をえらんでいるという。
粘着性のたかい動画とは、センセーショナルや超過激とされる動画のことだ。こうした動画によって、ひとはさらなる刺激をもとめ、サイトへの滞在時間がながくなる。
たくさんの動画が再生されれば、ユーチューブは広告収入がふえる。
当時、「ローマ教皇」と検索すれば、謀略論や教皇暗殺などに関する動画がおすすめの上位に表示されていた。
報道後、ユーチューブはシステムに修正をくわえたとした。
しかし、今の広告システムがつづくかぎり、完全な解決はみこめないだろう。
恐怖やいかりは一種の娯楽になっている。しかし、あまいものをたべすぎてはいけないように、過度の摂取は健康に悪影響をもたらす。
ときには、キャンプにいって自然のなかでただたき火をながめるだけのときがあってもいい。
かんがえたり、行動したりするのは大事なことだが、なにもせずにただまつことまた必要な時間だ。